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海へ向かう特急 月曜。いつものように電車はこんでいた。殺人的なラッシュだ。 思いきって反対方向の電車に乗って会社サボっちゃおうかな。そう考えたとき、海へ向かう特急が来ちゃったじゃないですか。 えぇーい。乗っちゃえ。 逆方向だから車内はガラガラ。数人の釣り人が乗っているくらいだ。 しばらくすると、車窓に海が見えてきた。会社に欠勤の連絡を入れる時間だ。 「もしもし。部長につないでください。え? 今日は休み? じゃあ次長に伝言をお願いします。今日、祖母が危篤になったんで休みます」 やった。半日くらいボーッと海を眺めて、浜辺のレストランで大ジョッキ飲んでから帰ろう。 「そうか。それは気の毒だな」 背後から、釣り人姿の部長の声が…。 (東京新聞:第7回300文字小説賞 優秀賞 受賞作品) |