その日は大漁だった。
すれ違う人や電車内で見かけた人が個性的過ぎて、ついメモってしまった。
- 鼻までロン毛の男
言葉で説明するのは面倒なので、絵に描いた。
ブリアードという犬種を思い出した。
数日後、別の場所でも同じ髪形をしている人を見た。
いま流行ってんのかあ?
- リュックから猫が逃げ出そうと……
上半身を乗り出して、いまにもその男のリュックから飛び出そうとしている。
近くまできたら、それはぬいぐるみだった。
本物じゃなくても画期的。
- スリムで超ロングなベルトの男
ちょうど、昔の侍のような髪形だがちょんまげはない。
両耳の上だけ髪の毛残ってる感じ。
スリムで内股。
その体型を誇るかのように、ベルトの余った部分が背中まで周回してる。
全長が胴囲の1.7倍。
背骨のあたりからしっぽのように垂れ下がったベルトの余りがありえないくらい長い。
ウエスト絞り過ぎ。
- 無限整髪料
地下鉄車内の窓ガラスを鏡代わりにロン毛を整えている男。
何度も髪をかき上げては窓に映った自分にうっとり。
なぜかときどき、小指を第2関節まで口に入れる。
で、そのあとウェットな小指を生え際になで付けている。
そのツバ、整髪料だったんだ!(げげげ)
上記の人々に比べたら、俺は誰の印象にも残らないその他大勢の普通の人。
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